SOLの“ヴィヴィ”の違いが分かる。種類と特長を徹底解説!
SOLのヴィヴィは全部で4種類
スター商事が取り扱う「SOL(エスオーエル)」は、エマージェンシーグッズを数多く手掛ける専門メーカー。エマージェンシーグッズの中には“ヴィヴィ”と呼ばれる商品が多数あり、その数はなんと4種類。カラーバリエーションを含めると6種類にも及びます。
しかし、カタログやスター商事のホームページを見ても、それぞれの違いが分かりづらいといった声がちらほら…。そんな悩みに応えて、今回はSOLの“ヴィヴィ”について、それぞれの特長と違いを詳しく説明します!
そもそも“ヴィヴィ”って一体何?
具体的に商品を紹介する前に、そもそも“ヴィヴィ”とはどういうアイテムか知っていますか?
“ヴィヴィ”とは“ビバークサック”の略称で、野営で使う寝袋状のアイテムのこと。ビバークはもともとドイツ語で、山小屋やテントを利用せずに屋外で眠ることを意味します。野営(ビバーク)するための袋(サック)=“ビバークサック”という訳です。
では、なぜ“ビバークサック”が“ヴィヴィ”と呼ばれているのでしょうか? それは英語の綴りに秘密が隠されています。ビバークはドイツ語で“biwak”と書きますが、英語では“bivouac”に変化。この“bivouac”の略語が“bivy(ヴィヴィ)”なのです。
順を追って説明すると、“bivouac sack”→“bivy sack”→“bivy”という流れ。省略されすぎて、私たち日本人には経緯を知らないと理解できないですね。
ヴィヴィについて知識が深まったところで、SOLが展開するヴィヴィのラインナップをチェックしていきましょう!
足元の立体縫製が特長で、内側に施したアルミ蒸着加工により、体熱の約70%を反射保持。独自の透湿素材を使い、内側で発生した湿気が外へ逃げていく透湿性を備えるため、ドライで快適な寝心地を提供します。
使用サイズ:213×81cm
収納サイズ:直径11×17cm
重量:241g
カラー:オレンジ、グリーン
こちらは上下の生地を縫い合わせただけの封筒型。性能はそのままにエスケープヴィヴィよりも薄い素材を使い、ファスナーやドローコードを省略したことで軽量化を実現。156gと軽量で収納サイズもコンパクトです。
使用サイズ:208×81cm
収納サイズ:直径8×15cm
重量:156g
カラー:オレンジ
ポリエチレン素材で作られる封筒型ヴィヴィ。内側のアルミ蒸着加工により体熱を約90%も反射保持します。耐久性はエスケープヴィヴィとエスケープライトヴィヴィに劣りますが、重量は100gしかなく圧倒的に軽いです。
使用サイズ:213×91cm
収納サイズ:直径7×8cm
重量:108g(ケース込み120g)
カラー:オレンジ、グリーン
エマージェンシーヴィヴィと同じポリエチレン素材で作られているますが、こちらは大人ふたりが一緒に横になれる大型サイズ。単体で使用するほか、テントの内側に敷いて断熱用シートとしても活用できます。
使用サイズ:213×152cm
収納サイズ:直径7×12cm
重量:175g(ケース込み185g)
カラー:オレンジ
それぞれの違いを徹底解説!
各商品の特長が分かったとことで、商品を広げながら具体的な違いを見ていきましょう!
「エスケープ」と「エマージェンシー」は素材が違う!
「エスケープヴィヴィ」「エスケープライトヴィヴィ」(以下、エスケープシリーズ)と「エマージェンシーヴィヴィ」「エマージェンシヴィヴィXL」(以下、エマージェンシーシリーズ)は、使われている素材が違います。
「エスケープシリーズ」に使われているのは透湿性のあるポリエチレン製の不織布であるのに対して、「エマージェンシーシリーズ」は軽量なポリエチレン素材で作られています。
使い分けを紹介すると、毎晩積極的に使うなら「エスケープシリーズ」、非常時用に持ち歩くだけなら「エマージェンシーシリーズ」がオススメです。
「エスケープシリーズ」の素材はとても柔らかく、サラリとした肌触りが特長。耐久性も高く、一度の使用で穴が開くことはまずありません。透湿性も特筆すべきポイントで、内側に湿気がこもらないので、スリーピングバッグカバーとしても使用できます。
「エマージェンシーシリーズ」に使われているポリエチレンは、身近なレジ袋などに使われている素材です。柔らかさは不織布と変わりませんが、若干肌に張り付くような感覚があります。薄く伸ばせるため、軽く仕上がる点が最大の特長といえるでしょう。
「エスケープヴィヴィ」と「エスケープライトヴィヴィ」は形が違う!
「エスケープヴィヴィ」と「エスケープライトヴィヴィ」は名前からも分かるように、重さがまったく異なります。「エスケープヴィヴィ」の軽量バージョンが「エスケープライトヴィヴィ」です。
軽量化したことで形にも違いが生じています。「エスケープヴィヴィ」は足元にマチがある立体縫製であるのに対して、「エスケープライトヴィヴィ」は上下の不織布を縫い合わせただけ。このため、スリーピングバッグカバーとして使うには、立体的な「エスケープヴィヴィ」がオススメといえるでしょう。
フード回りにも違いがあり、「エスケープヴィヴィ」はフルサイズのフード付き。開口部をドローコードで絞ることもできます。片側にファスナーが付いているので出入りもスムーズです。
一方「エスケープライトヴィヴィ」にはフードが付かず、ファスナーもありません。代わりに開口部の両サイドにスリットがあり、首元で生地を折り返すことができます。そのため、こちらは単体で横になるほか、スリーピングバッグの中に入れて使うといった方法がオススメです。
重さが違えば収納サイズも異なり、その差は歴然。軽量化を考えたいなら迷わず「エスケープライトヴィヴィ」を選ぶべきでしょう。
「エマージェンシーヴィヴィXL」は2人用のワイドサイズ!
最後に「エマージェンシーヴィヴィXL」と「エマージェンシーヴィヴィ」のサイズを確認しておきましょう。「エマージェンシーヴィヴィ」の横幅を約2倍にした商品が「エマージェンシーヴィヴィXL」です。
「エマージェンシーヴィヴィXL」は大きさを生かして、テントの内側に敷くといった使い方もオススメです。地面からの冷えをある程度遮断でき、雨の日にはフロアからの浸水も防げます。アンダーシートを装備リストから削除できると考えれば、テント泊がメインなら、単独でも「エマージェンシーヴィヴィXL」を選ぶのもありでしょう。
ちなみに、1人用の「エマージェンシーヴィヴィ」の収納袋は、ドローコードが緊急時に火をおこすときの着火剤として活用でき、末端には遭難したときに居場所を知らせるホイッスルが付属します。日帰り登山や山小屋泊なら「エマージェンシーヴィヴィ」を選んだ方がお得でしょう。
「もしも」に備えて”ヴィヴィ”を装備に追加しよう!
同じヴィヴィでも、これだけ違いがあるのは、SOLがエマージェンシーグッズの専門メーカーだからこそ。それぞれの特長を把握すれば、具体的な使い方や、それぞれの山行スタイルに合った選び方が見えてきます。今回の記事を参考にして、使いやすいヴィヴィを手に入れてください!
山岳ライター吉澤英晃が、アイテムを実際に使ってみてレポートする連載企画。
登山からキャンプギアまで様々なアイテムの使用感や特徴を紹介していきます。(構成・文:吉澤英晃)
【自己紹介】
大学の探検サークルに入部したのことをきっかけに登山を開始。
社会人山岳会に所属し、夏は沢登り、冬は雪稜からバックカントリーまで、一年中山で遊んでいる。
登山用品の営業職を経験した後、現在はフリーライターとして活動中。