【動画あり】100年以上も姿を変えない小型燃料ストーブ「123R スベア」の使い方をマスターしよう!
つい先日、ガス缶を購入するために二駅も離れた場所にある山道具専門店へ出かけました。扉を閉めた家のなかには使い切ったガス缶が転がっています。そして高い交通費をかけて数百円の商品を買いに出かけないといけない現実。「空になったガス缶の処分が面倒くさいし、この買物はなんだか経済的じゃない」。
そのとき、ふと燃料バーナーについて考えてみました。燃料バーナーにガス缶は必要ありません。用意するのは燃料のみ。しかもその燃料は、一般的なガス缶の充填ガス量が225gなのに対して、大概1Lという大容量で購入可能。ガス缶を購入する頻度が4分の1で済む計算です。これはとても経済的だし、燃料バーナーを使うひとつのメリットではないでしょうか。
そんな燃料バーナーの良さを確認したところで紹介する商品は「123R スベア 」。先月記事にしたオプティマスの「NOVA(ノヴァ)」と同じ燃料バーナーのひとつになります。
まず興味を惹かれるのは、まるでタイムマシンに乗って現代へやって来たような、いぶし銀でクラシックなデザイン。それもそのはずで、なんとこのストーブは100年以上も昔から姿形を変えていないのです! シンプルな円柱形で淡く輝く真鍮のボディーは、ある意味で完璧なデザインといえるでしょう。見れば見るほど使ってみたくなる不思議な魅力で溢れています。
さっそく「123R スベア」を使ってみよう!
「123R スベア」は「NOVA(ノヴァ)」と同じ燃料バーナーですが、明確な違いがふたつあります。
ひとつは燃料タンクが一体になっているという点。「NOVA(ノヴァ)」は別売りの燃料ボトルを購入しないと使うことができませんでしたが、「123R スベア」はバーナーと燃料タンクが一体になっているため、他にパーツを用意する必要がありません。燃料以外がワンセットになった完璧なパーソナルバーナー&クッカーセットが「123R スベア」なのです。
もうひとつは、燃料タンクに空気を送り込むポンピンクが不要ということ。タンクを加圧しなくても燃料が吹き出すように、燃料タンクとバーナーの連結部分を直接プレヒートして燃料を気化させるという方法をとっているのが特徴です。
それではさっそく「123R スベア」を使ってみましょう! 風防兼五徳を時計回りに捻って本体から取り外し、燃料タンクの栓を開けてからホワイトガソリンを注入します。注ぎ口が狭いので「NOVA(ノヴァ)」のときと同様に100円ショップなどで購入できるジョウゴがあると便利です。
燃料を入れたらキャップを締めて、次にプレヒートを行います。加熱する場所はタンクとバーナーの連結部分。凹みがあるので、ここにジェル系の着火剤を盛り付けてライターなどで火を着けます。
ここから先は動画を確認しながら読み進めると分かりやすいです。
着火剤に火が着いたら風防兼五徳を本体に取り付けます。あとはプレヒートが完了するまでしばし待機。お酒を飲むか本でも読みながら優雅に待ちましょう。
約1分後、頃合いをみてプレヒートできたか確認します。まずは三角形の鍵のような持ち手を六角形のコントロールバブルに取り付けましょう。次に時計回りに捻ってバルブを開放し、バーナー本体から気化したホワイトガソリンが吹き出してきたらOKです。バーナーとして使用できるようになったので、さっそくライターなどで点火しましょう。
ゴーーッと鳴り響く炎の最大出力は1,300kcal。高火力とはいえませんが、極端に弱いという訳でもありません。メーカーの公表値では、1Lの水を沸騰させるのにかかる時間は約7分とのこと。またバルブを捻れば弱火にすることも可能なので、調理をするのにも便利です。3本の五徳は180度回転させると外側を向くので、フライパンなども安定して使うことができます。
消火するときは、調整キーを時計回りに止まるところまで廻してください。消火後、タンクが冷めるのを待ち注油キャップをはずしタンク内の圧力を抜いてください。
一見すると扱うのが難しそうにみえる「123R スベア」ですが、使用方法はとても簡単。「NOVA(ノヴァ)」よりも手順が少ないので、より手軽に扱える燃料バーナーといえるでしょう。真鍮でできた本体はちょっと乱暴に扱ったくらいでは壊れないので、バックパックにガサッと放り込んでも大丈夫。使い込むほど渋さに磨きがかかり、愛着が湧くこと間違いありません!
OPTIMUS
山岳ライター吉澤英晃が、アイテムを実際に使ってみてレポートする連載企画。
登山からキャンプギアまで様々なアイテムの使用感や特徴を紹介していきます。(構成・文:吉澤英晃)
【自己紹介】
大学の探検サークルに入部したのことをきっかけに登山を開始。
社会人山岳会に所属し、夏は沢登り、冬は雪稜からバックカントリーまで、一年中山で遊んでいる。
登山用品の営業職を経験した後、現在はフリーライターとして活動中。